その考えがなければ、
あなたはどうなりますか?
「ワーク」とは?
「ワーク」(The Work) は、シンプルながらパワフルな探求のプロセスです。この世のあらゆる苦しみの源である「考え」を特定し、問いかけを行う方法を示しています。この方法を使えば、何が自分を傷つけているかを理解し、明確に問題に取り組むことができます。
「ワーク」を継続的に実践している方々からは、次のように人生が変わったという声が寄せられています。
- 抑うつ状態の緩和:消耗していた状況において、解決策を見つけ、幸福感すら感じられるようになった。
- ストレスの減少:以前よりも不安や恐れをもたずに生きる方法が身についた。
- 対人関係の改善: パートナーや親、子供、友人、自分自身に対して、より深いつながりや親密さを覚えるようになった。
- 怒りの軽減:自分が腹を立てたり、憤慨する原因がわかり、あまり反応しなくなった。
- クリアな思考:日常生活でも仕事でも、より賢明で効果的で一貫性のある考え方ができるようになった。
- エネルギーの増進: エネルギーや幸福感が続くという、これまでにない感覚を味わうようになった 。
- 心の平和:「 ありのままを愛する」ことを学んだ。
「ワーク」のやり方
「ワーク」を行うための一番シンプルなやり方は、次のようになります。
1
周りの人を裁く(ジャッジする)
私たちは昔から、人を裁くなといわれ続けてきました。にも関わらず、今でも、友人はこうふるまうべきだとか、子どもたちは誰に気遣うべきかとか、親の気持ちはこうあるべきだ、こうすべきだ、こう言うべきだ、というように、始終人のことを裁いています。「ワーク」では、相手を裁くこうした考えを抑えつけずに、気づきのきっかけとするのです。裁く心を紙の上に自由に表現することによって、他人という鏡の中に、気づかなかった自分の姿を発見します。
それでは、「ジャッジメント・ワークシート」に記入しましょう。ここから用紙をダウンロードしてください。
2
4つの質問
「ジャッジメント・ワークシート」に記入した文章のひとつひとつを、下記の4つの質問と置き換え(ターンアラウンド)を使って、じっくり探求していきましょう。「ワーク」は瞑想です。大切なのは気づき(アウェアネス)であり、自分の考えを変えようとする必要はありません。文章に対して問いを投げかけたら、ゆっくり心の内側に入り、より深いところから答えが浮上してくるのを待ってください。
「ワーク」のもっとも基本的な形は、4つの質問と置き換えです。たとえば、上記のワークシートでまず、 「ポールは私の話を聞いてくれない」という考えに問いかけてみてもいいでしょう。実生活でそう思ったことのある誰かを選んで、「ワーク」をしてみましょう。「〔〜(名前)〕は私の話を聞いてくれない」です。
- それは本当でしょうか?
- その考えが本当であると、絶対言い切れますか?
- そう考えるとき、あなたはどのように反応しますか? 何が起きますか?
- その考えがなければ、あなたはどうなりますか?
次に、(あなたが問いを投げかけた「考え」を)置き換え、置き換えた文それぞれについて必ず、 真実味のある具体例を3つ挙げてください。
3
置き換え
4つの質問を使って、あなたの「考え」に問いを投げかけたら、今度はその「考え」を置き換えていきましょう。
置き換える度に、元の文章と反対の状態を味わい、「裁いた」相手と自分との共通点に気づく機会が生まれます。
置き換えのパターンは、内容を反対に置き換える、主語を置き換える、自分自身に置き換える(「私の考え」に置き換えるのが適切な場合もあります)の3つが可能です。そして置き換えた文それぞれについて、真実味のある具体例を最低3つ見つけてください。
たとえば、「ポールは私のことを理解していない」という文章は、「ポールは私のことを理解している」、「私はポールのことを理解していない」、「私は私を理解していない」という3つの置き換えができます。
置き換えは、自由に発想しましょう。置き換えが気づきをもたらし、それまで見えていなかった自分の側面が、 他人を通して明らかになります。置き換えをひとつ見つけたら、心の内側に入っていって、味わってみましょう。それから、置き換えの文章それぞれについて、真実味のある具体例を最低3つ探してください。
私が置き換えた内容を日常の中で活かすようになって気づいたのは、相手についていっていることはすべて 自分に当てはまるということでした。相手の姿は自分の投影にすぎなかったのです。自分を取り巻く世界を変えようとするのではなく(目覚めるまでの43年間、やってみましたが、無理でした)、考えを紙に書いて問いを投げかけ、置き換えをすれば、相手について思っていることは、まさに自分のことなのだと気づきます。相手をわがままな人だと思った瞬間、私は、相手がこうあるべきだと決めつけている、わがままな人間なのです。相手を不親切だと思った瞬間、自分が不親切なのです。誰かについて戦争をやめるべきだと思うなら、私は頭の中でその人と戦っているのです。
置き換えは、幸福への処方箋です。これまでずっと他人に処方してきた薬(アドバイス)を、自分が活用しましょう。世界はあなたが活用するのを待っているのです。
置き換えの例
置き換えについて、もう少し例を挙げておきましょう。
「彼は私を理解すべきだ」を置き換えると、
-「彼は私を理解すべきではない。」(これが現実だから。)
-「私は彼を理解すべきだ。」
-「私は私を理解すべきだ。」
「彼は私のことを思いやる必要がある」を置き換えると、
-「彼は私のことを思いやる必要はない。」
-「私は彼のことを思いやる必要がある。」
(そうではないだろうか?)
-「私は私のことを思いやる必要がある。」
「彼は私に愛情がない」を置き換えると、
-「彼は私に愛情がある。」(彼なりに精一杯。)
-「私は彼に愛情がない。」(そういうところがないだろうか?)
-「私は私に愛情がない。」(探求しないときは、そうだ。)
「ポールは私にどなりつけるべきではない」を置き換えると、
-「ポールは私をどなりつけるべきだ。」(彼が時々どなるのは事実だ。自分は彼のいうことに耳を傾けているだろうか?)
-「私はポールをどなりつけるべきではない。」
-「私は私をどなりつけるべきではない。」
(ポールがどなっている様子を頭の中で何度も再現していないだろうか?一度しかどなっていないポールと、そのシーンを100回再生している私とを比べたら、どちらが寛大だろうか?)
現実を受け入れる
ワークシートの1番から5番に対するあなたの答えの中にある「相手を裁く考え」について、置き換えをし、 その中に真実味が含まれているか、検討したら、今度は6番の答えを置き換えましょう。「私は・・・してもよい」、「私は・・・することを楽しみにしている」という表現に置き換えてください。
たとえば、「私は二度とポールと議論したくない」は、「私はポールと議論してもよい」、そして「私はポールと議論することを楽しみにしている」に置き換えます。でも、なぜ楽しみにできるのでしょうか?
この6番目の置き換えは、あらゆる考えやいのちの営みを丸ごと恐れずに受け入れること、そして現実に対して心を開くことに関連しています。ポールとまた議論してもよいのは、傷ついたら、自分の考えを紙に書いて、探求できるからです。不快な気持ちというのは、実体がないかもしれないものに自分が執着していることを思い出させる合図にすぎません。「ワーク」をすべき時だと教えてくれているのです。
「敵」を「友人」と思えるまで、あなたの「ワーク」は終わっていません。その人を夕食に招かなければいけないといっているのではありません。友情というのは、あなたの内側で感じることです。その人とは二度と会わないかもしれないし、夫と離婚するということもありえます。相手のことを考えるとストレスを感じますか?それとも心の平和を感じるでしょうか?
私の経験では、うまくいく関係に必要なのは、たったひとり、つまりあなただけです。私にとって、結婚はパーフェクトなのです。夫がどう考えているかはわかりませんが、幸せだといってくれます。
よくある質問
人のことを書くのは難しいのですが。問題が自分にあるとわかっているのに、なぜ自分のことを書いてはいけないのでしょう?
自分のことを知りたいのなら、自分以外の人のことを書いてください。最初は「ワーク」を外に向けるのです。 そうすれば、自分の外側にあるものはすべて自分の考えをそのまま投影したものだ、ということがわかってきます。あなたのこと以外ということは、ありえないのです。私たちの多くは長い間、批判や裁く言葉を自分に向け続けてきましたが、何の解決にもなっていません。自分以外の人をジャッジし(裁き)、その考えについて質問を投げかけ、それから置き換えてください。これが理解や気づきに至る早道です。
自分自身をジャッジする(裁く)のは、きわめて難しいことです。自分はこういう人間だという考えが強い人がいるのです。つまり、自分は人の目にどう映っているはずとか、どう感じているはず、何をしていて、何をしていない、といった自分についての考えが強固なあまり、4つの質問や置き換えに素直に答えられない可能性があります。「ワーク」の初心者で、ジャッジの対象がどうしても自分でなければならないと感じる方は、「ヘルプライン」を利用して、経験豊かなファシリテーターに「ワークシート」をガイドしてくれるよう、依頼してください。
紙に書き留めなければいけませんか?問題が出てきたときに、頭の中で質問と置き換えをしてはいけませんか?
頭の仕事は「正しくあること」であり、一瞬のうちに自分が考えたことを正当化してしまいます。そこで、考えの中から、恐れや怒り、悲しみ、憤慨を生み出している部分を紙に書き出して、その動きを留めるのです。思考を紙の上に留めると、はるかに探求しやすくなります。そしていずれは、紙に書かなくても「ワーク」が自動的に思考を解放してくれるようになります。
人間関係の問題がないときはどうすればいいですか?ものについて書いてもいいでしょうか?自分の体はどうでしょう?
構いません。ストレスになっていることなら、どんなことでも「ワーク」のテーマにできます。4つの質問と置き換えに慣れてくると、自分の体や病気、キャリア、あるいは神でさえテーマに選ぶことができます。置き換えを行う際は、主語を「私の考え」に置き換えて下さい。
たとえば、「私の体は強く、健康で柔軟であるべきだ」は、「私の考えは強く、健康で柔軟であるべきだ」になります。
バランスのとれた健全な考えこそ、あなたが本当に望んでいるものではありませんか?これまで、病気の体が問題だったことがありますか?それとも、問題を引き起こしているのは、体に対するあなたの考えですか?探求してみましょう。医者があなたの体をケアするように、自分の考えのケアをしましょう。私の友人に、自分で体を動かせない人がいますが、彼は人生を謳歌しています。自由であるために健康な体が必要とは限りません。思考を解放しましょう。
ご自身のことを「現実を愛する人間」とおっしゃっているそうですが、戦争やレイプといった、世界で 起きているありとあらゆるひどいできごとはどうなのですか?そういうことには目をつぶっていらっしゃるのでしょうか?
いいえ、まったく逆です。現実にあることを、こんなことは存在すべきでないと考えれば、私は苦しみます。私は、自分の中の戦争を終わらせることができるだろうか? ひどい考えや行動によって、自分や人をレイプするのをやめることはできるだろうか?それができないとしたら、私は自分がまさにこの世界において終わらせたいと思っていることをし続けることになります。私はまず自分自身の苦しみ、自分自身の戦争を終わらせるところから始めます。これは一生かかる取り組みです。
つまり、現実をありのままに受け入れ、異議を唱えるな、とおっしゃるのですね?
「ワーク」は何をすべきか、何をすべきでないか、ということは言っていません。ただ、現実に対して抵抗することは、どんな意味があるのだろう、どんな感じがするだろう、と問いかけるのです。このワークは、痛みを伴う考えに執着する原因と結果を探求し、その過程において自由を見つけるものなのです。ただ、現実に抵抗してはいけない、と言うだけでは、また新たなストーリーや哲学、宗教を増やすだけで、効果をもった試しがありません。
私は神を信じていませんが、それでも「ワーク」で得るものはありますか?
あります。無神論者、不可知論者、キリスト教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒、仏教徒、ヒンズー教徒、多神教の人―どんな人であれ、幸福と平和を望んでいるということでは、みな同じです。もう苦しむのはたくさんだと思っているのなら、「ワーク」をお勧めします。
「ワーク」をもっと深めたいのですが。
本当に自由になりたいのであれば、三度の食事に「ワーク」をどうぞ、と私はよく言っています。「ワーク」をすればするほど、自由になれるからです。また、系統的に「ワーク」に取り組みたい方のために、スクールを開催しています。それは集中的に自分の考えに取り組むことで人生が変わる旅です。アフターケアや素晴らしいサポート体制も整っています。
「スクール」は、究極の内なる冒険です。他のいかなるスクールとも違い、学ぶためのものではありません。むしろ「脱・学習」のためのものです。あなたが人生でずっと、思わず執着してきた、恐れに基づくストーリーを9日間かけて、手放していきます。スクールのカリキュラムは、過去の経験をベースとしたものですが、参加者のニーズなどにより、その場で臨機応変に展開していきます。各エクササイズは、ケイティが直接リードします。そして参加している方のニーズに合わせます。スクール体験は毎回違いますし、ケイティと9日間過ごした後は、あなた自身も変わります。ケイティは次のように言っています。「4つの質問があなたの中で生き始めたら、頭の中がクリアになり、あなたが投影する世界がクリアになります。これは誰にも想像できないほど、根本的なことなのです。」
ワークの手順を頭では理解しているのですが、実際にやってみると何も変化が感じられません。
何が足りないのでしょう?
頭で表面的に質問に答えていると、納得感が得られません。問いかけをしたら、心の深いところに下りていくようにしてください。同じ質問を数回繰り返しながら集中する必要があるかもしれませんが、そうしていると、答えがゆっくり浮かび上がってくるはずです。自分の内面から答えが出てくれば、自然に気づき(と変化)を伴うものです。
これまでずっと、ジャッジをする度に置き換え(ターンアラウンド)を使ってきましたが、なぜか効果がなく、逆に落ち込み、混乱してしまいます。どういうことなのでしょう?
単純に考えを置き換えるだけの作業では、プロセスが頭の域を出ないので、ほとんど意味がありません。頭の働きを超える必要があります。4つの質問は、いわば思考の海に潜り、深いところにある知識を水面に引き上げてくる探査のようなものです。まず質問をし、それから答えが浮かんでくるまで待ってください。答えが浮かんだら、 置き換えをしてください。表面的な心と、深いところにある心が出会うと、置き換えた文章が真の発見であるように感じられます。
置き換え(ターンアラウンド)は常に可能でしょうか?置き換えの文章がなかなか思いつかないときは、どうすればいいでしょう?
置き換えについては、文章の内容を反対にする、自分のことに置き換える、主語を置き換えるの3つのパターンがあります。これ以外にも見つかることはあるでしょうし、これより少ない場合もあるでしょう。対象が人でなく、体のような事物のときは、内容を反対にするのに加え、主語を「私の考え」や「私の思考」に置き換えてください。たとえば、「私の体は不健康だ」は、「私の考えは不健康だ」のように置き換えられます。そして、置き換えた文章すべてについて、できれば最低3つの真実味のある具体例を見つけてく
ださい。
わたしには「ワーク」が効かないのですが、どうしてでしょう?
4つの質問に素直に答えるのをやめてしまい、自分が取り組んでいる文章を正当化したり、弁護するようになったとたん、「ワーク」は効果がなくなります。そのときあなたが使っているのは、人間が思考の誕生以降、使い続けてきた、見込みのない方法です。自分の立場の正当化や弁護をし始めたり、ストーリーに入り込んでしまったら、ただ自分がしていることに気づき、ワークに戻ってください。頭の中で闘うのは、古い方法です。自分の中の戦争をやめられないなら、外界の戦争もやめさせることなどできません。さあ、この新しい方法により、平和になりましょう。
バイロン・ケイティと同じような考え方のセラピストが地元にいないか、探しているのですが、どうしたら見つけられますか?
ウェブサイトthework.comをご覧下さい。「公認ファシリテーター」の項目をクリックし、検索していただけます。ファシリテーターにはセラピスト、精神科医、心理学者他の保健専門職も含まれており、全員がバイロン・ケイティから直接訓練を受け、「ワーク」に精通した者ばかりです。
ファシリテーターへの連絡は、電話やメール、スカイプなどで。個人セッションも可能です。BKIのサービスをご利用下さい。また、ファシリテーターをご活用いただけましたら、推薦の言葉やご不満な点、感想など、certification@instituteforthework.comまでお寄せ下さい。あなたの
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